がくちょうです。
昨日の続きで、今日こそコンテンツマーケティングの話をしたいと思います。
事業モデルは企画が9割
いきなりコンテンツマーケティングと関係ない話ですが、リクルート時代から独立した後も、ずっと新規事業の創出という現場に好きで関わってきました。
これまで軽く100は超える新規事業の創出現場に立ち会ってきたと思いますが、私の感覚では新規事業というのは
企画が9割
だなと思っています。
まぁ正直に言って、企画段階でそのサービスに価値があるかとか、どれくらい儲かるかとか、そういうのは大雑把には確定しちゃうかなと。
ただし、その先にどこまでスケールするか?というのは、経営者の覚悟や腕次第みたいなところもあります。
最低ラインを越えている企画なら、少なくともスモールなビジネスにはなる。なので、私のようなスモール専門でやっている人間からすると、企画が9割と言っても過言ではありません。
で、企画というのは総称すれば
なぜこのサービスは購入され続けているのか(または、され続ける予定なのか)
という一言に尽きます。
これをどのように説明するのか?というので、勝ち筋というのはほぼ決まる感じです。
ちなみに、スモールビジネスは基本的にステークホルダーを増やさない方が良いので、例えばメディアビジネスのように「ユーザーに無料で利用してもらいつつ⇒別のステークホルダーから課金する」みたいな2段階ロケットはあまり推奨しません。
アフィリエイトとかもそうですね。2段階ロケット。
たまに、子供向けの教育サービスのように「直接の利用者=子供」「課金者=親」みたいになっちゃうケースもあるっちゃありますが、やっぱり一気に難易度上がりますね。
なので、できるだけ直接利用者から課金できる事業モデルを設計するのをお勧めします。
雑な紹介になりますが、下記に私が事業モデルの企画時に使っている質問を載せておきます。
社会の変化と業界の構造のミスマッチは何か?
ほとんどのイノベーションチャンスが、社会の変化に対して既存の業界構造が追い付かずに、新しいソリューションが求められた時に起こります。
社会の変化によって、大きな波が発生し、それが長期的なビジネスの需要を発生させることで追い風になってくれるか?という感じです。
私の場合、非成長社会が原因の将来不安によって「働き方・お金の稼ぎ方」というのを見直さないといけない人が増えているというのが、長期的な追い風です。
この社会の変化に対して、既存の業界構造は「労働ベース」のソリューションしか提案できていません。残念ながら、現役世代にとっては労働環境を変化させるだけでは問題は解決しない。
「自分で価値を生み出してお金を稼げるようになる」という方向のソリューションが必要です。私はここにアプローチしています。
顧客の無駄な(効率の悪い)努力は何か?
ビジネスの需要というのは、簡単に言えば「顧客の無駄な努力」という言葉に集約できます。
現在、顧客が無駄が多く効率の悪い努力をたくさんしていて、それを効率よくした分だけ自分のサービスにコストを変更できます。
そのためには、
- 顧客がどんな願望を持っていて
- でも実際はどんな状況になってしまっていて
- それを打破するためにどんな無駄な努力をしていて
- その無駄な努力はどんな思い込みによって発生してしまっているのか
という4つの項目を考えていきます。
この無駄なコストが、ほぼイコールでマーケットです。
効率の良い行動はどんなものなのか?
現在、顧客が採用してしまっている無駄が多くて効率の悪い努力に対して、専門知識を身につけている自分だからこそ見えている
効率の良い行動
を設定します。
ある技術についての専門的で深い知識があると、顧客の効率の悪い努力の代替案として、もっと効率の良い行動案が提示できるようになります。
この部分こそが、顧客が既存の行動を取りやめ、自社のサービスを採用するようになる理由、つまり「顧客に選ばれる理由」になります。
企画の中で最も重要度が高い部分と言っていいでしょう。
ソリューションの二律背反を捉えて解決する
この時点で、自分が提案するソリューションの方向性は見えていると思います。
ここから、もう一段階サービスの質と競争力を高める工夫をします。
それが二律背反の解決です。
自分が提案するべきソリューションがある程度見えてきたら、競合や既存のサービスを調査してみます。
慣れていないうちは、この時点で「私の提案はオンリーワンだ!」みたいに思いがちですが、ちゃんとフラットな目線(バイアスの無い調査)で調べたら、自分がやろうとしていることを先にやっている人が必ずいます。
そこで、競合調査をしてそこに存在している二律背反を探します。
例えば私の場合、「行動習慣が変わるような起業塾」みたいなのが競合に設定できるのですが、ここに
- 参加コストが高いほど効果があり
- 参加コストが低いほど効果が低くなる
という二律背反があります。
参加者としては、参加コストが低い方が望ましいのですが、そういった場所(オンラインサロンとか)では効果が低くなりがちです。
逆に、参加コストを高く払えば(毎週集まって合宿をやるような研修や起業塾など)、行動習慣が変わるという効果は高いですが、様々な制約でそもそも参加できない人が多くなる。
この二律背反に対して、「参加コストが低いのに、効果が高い」という部分を実現することで、圧倒的な競合優位性を設計できます。
何らかの技術が必要になる場合が多いのですが、この部分の技術こそが「自社の競合優位性であり、特異な技術」という事になります。
コアな顧客は誰か?
ここまで設計できたら、上記のソリューションがぴったり当てはまる顧客の条件を設定します。
私の場合は、
- 働き方を変えるために本当は行動習慣を変える必要があるが
- 間違った思い込みでビジネスの知識を身につけることばかりに投資していて
- 大量の投資のわりに現実が全然変わっていかないという状況になっている人
が顧客の対象者であり、さらに「コアな顧客」に関してはその中でも
- 行動習慣を変える必要があるとは理解できたが
- 子育てや介護等でリスクを取りづらい
- 地方や海外に住んでいて環境を変えづらい
という条件を持った人になります。
継続的に利用、購入されるのはなぜか?
ここまで設計できたら、最後に「使い続けてもらう」理由について設計しておきます。
これは、サービスの利用を辞めた際に、顧客に発生する不安や問題が何か?を考えるイメージですね。
私の場合は、行動習慣の変容というのがサービスのコア体験になっていますから、サービスの利用を辞めると「行動習慣が元に戻ったり、望んでいないものになる」というデメリットや不安が発生します。
さらに、サービスの課金サイクルを1年単位にすることで、利用していない時期を体験した際にどのようなデメリットが起こるか?を実際に体感することができるようにしてあります。
他のサービスに乗り換える際に発生するコストやデメリットは?
これで企画としては最後ですが、ほぼ同じ機能性を持ったサービスが出現した際に、そちらに乗り換える際のリプレイスコストを設計します。
私の場合は、コミュニティに近いサービスになっているので、別の場所で全くゼロから新しい人間関係を創り直す必要が発生するため、それがリプレイスコストになっています。
コンテンツマーケティングの設計
そんな感じで事業モデルの企画を立てたら、次にやっとコンテンツマーケティングの設計に入ります。
ちなみに、コンテンツマーケティングをやるということは、事業モデルとはまた別で「メディア業をやる」というのに「ほぼ等しい」と言っても過言ではありません。
ぶっちゃけ言うと、例えばですがアドワーズやリストアフィリエイトでCPA数千円くらいで見込み客を集めてしまった方が圧倒的に速いし楽。
たとえリスト獲得費用が1件あたり1000円になったとしても、200件で20万円です。もちろん事業モデルやCTRCVRなどによりますが、そこから5件CVを出せたとして、LTVが50万円になるなら250万円の売り上げが出ますから、広告比率は10%以下になります。
十分な数字なのが分かると思います。
逆に、コンテンツを設計してオーガニックベースでマーケティングをやるというのは、
- 顧客の質の向上
- 中長期的なLTVの向上やブランドの確立
- 中長期的な利益率の向上
- 採用やビジネスパートナー等の獲得
など、性急には指標にしづらいメリットを追いかけるという意味です。
なので、コンテンツマーケティングが必要かどうかに関しては、経営方針やスタイルが非常に重要で、傾向としては
- 超スモールビジネス
- 超ラージビジネス
の2つの場合に有効ですが、中堅サイズのビジネスには逆に有効ではないことが多いです。
超スモールビジネスでコンテンツマーケティングが有効なのは、広告費という出費を社長や経営者の実働で補えるという部分に加えて、顧客の質が高いことが何より重要だからです。
ほとんど社長=メインプレイヤーとなりがちな超スモールビジネスにおいては、顧客の質が悪いことはモチベーションや体力、ビジョン、やる気、その他すべての精神的なエネルギーを奪うことに繋がります。
さらに、人間の価値観=サービス=集客力という風に変換しやすく、ビジネスや領域にスパンがロングになるのもコンテンツマーケティング向きです。
話がそれましたが、コンテンツマーケティングをやるというのは、事業モデルとは別でまた「メディア業としての設計」が必要になるという認識で取り組むのが良いでしょう。
ただし、メディア業の場合はKPIがPVや収益性になると思いますが、コンテンツマーケティングにおけるKPIは明確にリストや見込み客の獲得です。
そのため、「準メディア業」として取り扱うというイメージが最も適しています。
めっちゃ長くなってきたんで次の記事に続きます。