がくちょうです。
最近はコミュニティ、ヒエラルキー、経済というものをどうやって構築するか?という話を色々と考えたり勉強したりしています。
今日はコミュニティと通貨の発達について考えていることや発見した仮説を紹介します。
一つ目の発見
一つ目に発見したことは、特定ヒエラルキーの拡大スピードと保持性についてです。
拡大スピードに影響をもたらしている要素は、「通貨の互換性」ではないかという仮説を持っています。
そして、保持性に影響をもたらしている要素は、「階層の明確化」ではないか、という考えかたです。
二つ目の発見
以前紹介したように、お金2.0では経済には5つの要素
1)報酬が明確である(インセンティブ)
2)時間によって変化する(リアルタイム)
3)運と実力の両方の要素がある(不確実性)
4)秩序の可視化(ヒエラルキー)
5)参加者が交流する場がある(コミュニケーション)
が必要だと説明され、さらに2つの要素「共同幻想が寿命を長くする」「経済には寿命がある」という視点ものべられていました。
私はここに「通貨」という視点が抜けているのではないかと考えています。
そして先に述べたように、通貨の互換性が拡大スピードに影響を与えるのではないか、という話です。
通貨の条件とは
そもそも通貨って何なんでしょうか。
通貨の条件について考えてみましょう。
まず調べてみると、厳密には「貨幣」がより包括的な定義を持っているようです。
貨幣の機能は次の3点である。 (1) 価値尺度および価値基準 (価格の基準として貨幣呼称をもち,計算貨幣となる) 。 (2) 交換手段あるいは流通手段。 (3) 価値貯蔵手段。
貨幣(かへい)とは – コトバンク
貨幣には3つの機能があり、価値基準が明示化されていること(測量可能かどうか、と判断してよいと思います)、様々な価値と好感可能であること、そして貯められること、の3つと定義されているようです。
分かる。
すごく分かりやすい。ありがとうコトバンク。
そして、通貨というのは貨幣の3つの機能の中で、2番の「交換手段、流通手段、決済手段となること」の機能を切り取って表現されたものらしいです。
一般には貨幣と同義に用いられているが,厳密には貨幣の諸機能,(1) 価値尺度,(2) 商品流通の媒介物としての流通手段,(3) 商品交換の最終的決済としての支払手段などのうち,(2) の機能を果す貨幣のことをいう。
通貨(つうか)とは – コトバンク
へー
知らなかった。
もちろん法定通貨以外でも、よく貨幣に近いものが発行されている例があります。
例えば学校や受験勉強というヒエラルキーなら、貨幣は「模試の点数」や「成績表」になるでしょう。
イーベイやヤフオク内なら、貨幣は「出品者の口コミ」になると思います。これはシェアリングサービスなどでも同じことが言えるでしょう。
例えばマッチングサービスのじゃらんnetでは、「口コミ」という機能があって、良い口コミを貯めると予約が入りやすくなったりします。イーベイやヤフオク、ココナラやタイムチケット、クラウドワークスなどでも、購入者の評判を集めていくと、それがヒエラルキー内での貨幣の役割となっていきます。
こうやって整理した時に、ヒエラルキー内における貨幣の役割は3つあるように考えられます。
1つ目は「貨幣の貯蔵によってヒエラルキー内でのリワードがブーストされること」です。
つまり、特定ヒエラルキー内で貨幣を貯蔵するほど、そのヒエラルキー内で優遇されたり、そもそもそのヒエラルキーに求めていた価値の享受量が増えていく、という役割です。
例えばじゃらんnetで口コミが高くなるほど、予約が入りやすくなる。口コミや評判という貨幣を集めると、そこに求めていた「もっと自分の商品を売りたい」というリワードが受けやすくなります。
これが貨幣の貯蔵によるリワードのブースト効果です。
2つ目は「貨幣の貯蔵によって、貨幣が自己増殖していく機能を持っていること」です。
お金がお金を増やす、という投資の世界はこれに該当します。口コミに関しても、集まれば集まるほど予約が入りやすくなり、結果としてさらに口コミが集まりやすくなります。ただし、自己増殖機能が強いほどヒエラルキーの参入プレイヤーは増えやすいですが、階層の固定を生んでしまう弊害によって寿命が短くなるという可能性はあります。
そして3つ目は「外部ヒエラルキーの貨幣と接続性があること」です。
例えば、日本で発行されている日本円が、本当に日本でしか使えないという事になると、日本円を保有するユーザー数は拡大しません。
ツタヤポイントを貯めて、本当にツタヤでしか使えないのであれば、貯めようとする人は少なくなります。
上記を踏まえて、バランスの良い貨幣を発行するならどういった仕組みが必要でしょうか?
貨幣の要素
改めて整理すると、貨幣には
● 貯蔵性
● 自己増殖性
● 外部接続性
● リワード促進性
● 測量性
という5つくらいの視点があるように思います。
この中で、外部接続性に関してはネットワーク効果が顕著で、プレイヤーが多いほど外部接続しやすくなります。例えばツタヤポイントで決済できるものが増えるほど、ツタヤポイントユーザーにとっては利便性が上がっているわけですが、そもそもツタヤポイントユーザーが多くないと決済できるものは増やせません。鶏と卵の関係です。
価値が「モノ」に溜まっていた、つまり人類の生存性を最終KGIとしたヒエラルキーで、物質的資源が貨幣になっている世界がありました。
それを「貝殻」を貨幣に換える試みをしようとした時に、「そもそも貝殻と物質的資源を交換可能だ」と信じさせる必要があります。
つまりボトルネックとして「信用担保の方法」が存在するのです。
貨幣は、「互換性の信用担保と可視化レベル」が高いほど、外部ヒエラルキーのプレイヤーを参入させやすくなり、一定量のプレイヤー数になるとそれ自体が信用担保の機能を持ち始める、という流れです。
まとめると、
新しいヒエラルキーには、ほかのヒエラルキーでは得られないリワードが用意されている必要がある
ヒエラルキーの拡大スピードと拡張性は、貨幣の互換性によって決まる
ヒエラルキーの保持性は、階層の明示化と共同幻想の強さによって決まる
ヒエラルキーは上で述べた「リワード」「階層の明示化」「共同幻想」以外にも「変化」「不確実性」「交流」「通貨」という要素を含有していると保持性が高くなる
ヒエラルキー内で新規発行される貨幣には、「貯蔵性」「自己増殖性」「リワード促進性」「測量性」「外部接続性」の5つの要素を持っている必要がある
外部接続性は、互換性の信用担保と可視化レベルを高めることで初期ユーザーを流入させて、ヒエラルキーの完成度でユーザーを拡大していく
一定以上のユーザー数になると、ネットワーク効果により外部接続のサードパーティが発達したり、ユーザーによる接続手法の開発が進んで強固となっていき、レイターユーザーも参入してくるようになる
ということになります。
流れとしては
1)リワードの設計⇒ユーザーが流入
2)ヒエラルキーの設計⇒ユーザーの滞留によって初期母集団形成
3)他通貨との互換性の信用担保と可視化⇒他ヒエラルキーのアーリーユーザーが流入
4)通貨の接続事例と接続ツールとなるサードパーティが発達⇒他ヒエラルキーのレイターユーザーが流入
という順序が自然かなと思います。
そういう意味では、通貨の部分だけ発達させるとスピードは速くなりますが、本質的にはリワードとヒエラルキーの完成度がヒエラルキーの根幹にあるわけですから、仮想通貨などは仮想通貨全体としてみると非常に秀逸ですが、個別銘柄においてはその部分の競争力が後から差になって出てくるという感じでしょう。
あぁすっきりした。
では本日も精進しましょう。