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オンラインの村を創ったらものすごいことになった

がくちょうのコラム

執筆します。

昨日色々とラジオで話したことをある程度まとめておく感じで。

オンラインの村を創った

2019年、5月1日。

令和元年の始まりと共に、オンラインの村を創りました。

ただいま絶賛開墾中で、ちょうど昨日もその辺について、つまり

●どうしてファーストペンギン大学を村に変えたの?

●今後、村でどういった事をしていきたいの?

みたいな話をラジオで話したところなので、その辺をまとめておこうと思って筆を執りました。

ファーストペンギン大学でやってきたこと

もともと、私は教育に興味がありました。

人を育てるのは偉大な仕事だとずっと感じているし、何かしら教育者の星を持って生まれてきているんだと思います。

独立してからは「マーケティング」という非常に広い対象について、勉強したり、実践したり、そして人に教えたりすることをやってきました。

その活動の中で、一つの大きな疑問を抱いたのが私の教育道の始まりです。

それは、「社会に出たら必要になることを、なぜ学校も親もほとんど教えてくれなかったのか」という事でした。

実際に自分としても、社会に出て働き始めてから、そしてさらに言うと独立して自分で事業を始めてからというもの、それはもう恐ろしいほどの勉強をし、大切なことを学んだ感覚があります。

それが例えば小学生から大学までの6,3,3,4年間で16年間と、リクルートでの3年半と、独立してからの8年間で比重にするなら、学生の頃の4倍くらいリクルートでの学びが多かったし、リクルートの10倍くらい事業主での学びが多かったという印象です。

教育が機能不全になっているとは思いませんが、少なくとも「非常に効率が悪い状態」になっている。

自分なら、16年もあればもっとたくさんのことを学べる場所を創れるのに。

いや、それなら作ればいいのか。

既存の教育システムよりも、もっとずっと濃くて、効率が良くて、実生活に役立って、モチベーションが上がって、自発的に取り組めて、幅広くて、生涯にわたって学び続けられるような学校を、自分の手で創ってしまえばいい。

そうすれば、きっとたくさんの人が今の何倍もの問題解決能力と、社会変革のモチベーションを持って育ち、日本社会が抱えている様々な問題を解決してくれるはずだ。

割と真剣にそう思って、「ファーストペンギン大学」を実験の場に選んだというのが始まりでした。

だから、最初のテーマは「マーケティングを義務教育に!」というキャッチフレーズ。

これは、おそらく現代の経済資本社会において最も重要度が高いのに、最も既存の教育システムでは学べない代表的なものが「マーケティング」であると感じたのがベースになっています。

人を動かし、社会を形作っていく偉大な魔法、マーケティング。

それを根本から理解し、実践できるような人材を育てられる学校を創って、義務教育レベルに普及しよう。

そんな意思を持って始まったのが、ファーストペンギン大学の前身である「マーケティング実践大学」だったのです。

必要なのは知識ではないという仮説

大学を始める前、それまでにも人に教えるという仕事を何年も経験してきていたので、早々に1つの仮説を立てていました。

それは、「人間の成長には知識の前に必要なものがある」という仮説です。

知識で成長できるなら、この情報化社会で成長できない人なんていないはず。

でも、たくさんの人が悩んだり迷ったりしてうまく物事を実現できないでいる。

何か、知識以外のものが必要なのは明白でした。

でもそれが何なのか、スタートした当初は分かっていませんでした。

2017年の1月くらいに大学をスタートして、3ヵ月くらいはそれを探しながら、考えながら、色々とテストしていて。

一つの大きな結論に至ったのが、スタートから4ヵ月経った5月ごろでした。

1対NからN対Nに

ちょうどその頃、義務教育レベルにするには「1対N」という構造を抜け出さなくてはいけない、という事を考えていました。

何万人が参加できる場所を創るには、自分が中心になってたくさんの人を集めたり育てたりするような「1対N」のモデルでは限界があります。

ユーザー同士が教え合い、学び合うような場所を創って、ネットワーク効果で広げていく必要がある。

つまり「N対N」の関係がある場所を創る必要があります。

加えて、「1対N」のような心理構造を創ることは、相手に依存心を持たせ、遠くにいる人に憧れを抱かせた結果、当人の自立した行動を妨げる可能性があることを経験で理解していました。

心理的な依存心を消し、ユーザーに自立した心や判断軸を養うためには、中心に「正解」をちらつかせた人物がいることは良くない。

「素晴らしいノウハウ」を提供している高額塾で、割合で見るとほとんどの生徒が育たないのはそれが理由だと私は考えています。

そこで、まずは自分が中心にいるんだという意識を極力消すようにしました。

さらに、発信の方法を変えて、「自分が答えを持っている」と相手に受け取られるような発言をできるだけ避けるようにしました。

まさに当時、5月7日にこんな記事を書いています▼

答えを言い切ってしまうことの功罪

そして、ユーザー同士を積極的に交流させるために「部活」という少人数のグループワークシステムを導入しました。

最大6名までの規模で、同じ目的を共有したユーザーが集まり、グループチャットを創ったりして交流していくというのが部活システムです。

人数が少ないというのが重要で、オンラインで人間が深く交流できるのは6名くらいが限界です。

この部活制度が非常に有意義で、ユーザーが自分たちで主体性を発揮し始め、中心のオーナーである私ではなく、ユーザー同士で学び合うような意識が芽生えるきっかけとなりました。

当時、こんな記事を書いています▼

部活制度のすごさ

下記は抜粋です▼

部活制度を始めてから気づいたのは、

「ビジョンの明確な少人数のチーム」に所属することによって、人は「役割」を見つけることができる

ということです。

これは人間という生物の性質なのかもしれません。

そして、役割を意識した人間には「主体性」が生まれます。

主体性は行動を促進します。そして、行動した人間には必ず成長が伴っていきます。

人間の成長のために知識の前に必要なものは?

スケールするため、そしてユーザーの自立心を育てるために「1対N」から「N対N」を目指して始めた学校改革でしたが、ここで思わぬ副産物がありました。

それが、「人間の成長のために必要なもの」に関する結論です。

先に言うと、人間の成長には「環境」が必要でした。

部活制度をスタートして、少人数のグループワークを実施していった結果、驚くほどたくさんの人が「主体性」を発揮し、「高いモチベーション」を維持できるようになり、考え方が変わり、行動が変わり、人生が変わっていったのです。

これは私も大変驚き、興奮したのをいまだに鮮明に覚えています。

まるで小学校以来の親友かのように、初めて出会った人達でチャットグループを創って、夜中まで話し合ったりして、交友を深めていく姿を見たのです。

そして、彼らは今までやらなかったことに自然と挑戦し始め、結果としてたくさんの生徒が起業したり、ビジネスを始めたり、実生活を劇的に変えていくことができました。

ここで私は一つの名言を思い出しました。

あなたはもっとも多くの時間をともに過ごしている5人の平均である。
──Jim Rohn

「長い時間をともに過ごしている5人」の平均が、今と未来の自分を作っている | ライフハッカー[日本版]

という言葉です。

そうか。

付き合う人が変われば、一番たくさん話す人が変われば、人間は自然と変化していけるんだ。

当たり前のことを、目の前の現象を見てその時はっきりと理解しました。

知識よりも先に、環境が必要なんだ。

そして重要なのは、モバイル社会になった結果、全員が「手元に世界と繋がれるデバイスを持って」おり、そこを通じてオンラインで「環境」にアクセスできるようになっているということです。

つまり、オンラインで「環境」を創ることは可能になっているのです。

もちろん、環境だけでは完璧とは言えません。

しかし、少なくとも「良い環境」無しでは、人は育たない。

良い環境は教育にとって「必須条件」であり、まず最初に満たしてあげるべき要素だと私は考えるようになりました。

良い環境を創るための努力

そこから私は、しばらくの間「オンラインで良い環境を創って提供する」という方向に努力をしてきました。

オンラインに、もし現実の社会と切り離された「第三の環境」を創り出すことができ、安く提供することができるようになれば、現実社会で運悪くも環境に恵まれなかった(毒親の元に産まれた、ブラック企業に就職してしまった)としても、いつでも第三の環境に所属し、よい影響を受け、人生を変えていくきっかけを得られるようになる。

そんな社会は、とてもセーフティーだと私は思います。

偶然産まれた家、土地、地域、偶然通うことになった学校、偶然就職した会社。

そういった「偶然」に支配されずに、いつでも人生をやり直すきっかけをスマホから安く買える社会。

その実現のためには、「オンラインで良い環境を創る方法」が確立される必要があります。

オンラインで良い環境を創るためには、何が必要でしょうか?

たくさんの仮説を検証してきましたが、私なりの結論を書きます。

オンラインで良い環境を創るために必要な5つの要素

まず、必要なのは文化と評価制度です。

どんな生き方を目指す人が集まる場所なのか?を明示し、その生き方を実践した時に目に見える形で評価される制度を導入する必要があります。

これにより、文化が形成されます。

文化は、環境の根柢にある非常に重要な土台です。文化無しに、良い環境を創ることは決してできません。

具体的には、私は「経済的、精神的に自立した人間を目指す」というビジョンを掲げ、そのために「挑戦と貢献」を推奨することを明文化しました。

そして、挑戦や貢献をした人間を評価するために「表彰制度」を設け、「ナイスペンギン!」などの独自用語を創造し、普及に努めました。

次に、知識と実践の機会です。

目指す生き方のために、どういった行動が必要か?という知識を提供し、それを実際に実践する機会を提供します。

そして最後に、ユーザー同士の深い交流です。

この5つ、まとめると

  1. 文化
  2. 評価制度
  3. 知識
  4. 実践の機会
  5. 深い交流

これらをオンラインに再現することで、「良い環境」を創ることができると結論づけました。

そして、過去に生徒だった方は体感していると思いますが、大量の生徒が実際に劇的な変化を遂げ、成長していくこととなりました。

私は、日本に存在するオンラインサロンの中で、ダントツナンバーワンで「他人の人生に良い変化をもたらした」という自信があります。そしてそれは、2018年にDMMからの日本一の称号で裏付けされた結果となりました。

売上が伸びた、新しい出会いがあった、というオンラインコミュニティはたくさんあると思います。

しかし、人間の考え方や生き方を根底から変え、これまでと全く違う生き方を実現させてしまうような環境をN対N(つまり多様性を保持したまま)で再現している場所はおそらくほとんどないでしょう。

どうやって5つの要素を実装するか?

上記を実現するために、さらに細かい方法論を記載します。

5つの要素を書きましたが、実際に一番難しく、そして重要度が高いのは「深い交流」です。

文化や評価制度は、オーナーがビジョンを掲げて、定期的にユーザーの行動を表彰したりすることで、意外と簡単に実装できます。

知識や実践の機会に関しても、「こんなことをやってみよう」などと促し、実践したことを発表する場所を設けることで、オンラインでも意外と実装できてしまいます。

問題は、「ユーザー同士の深い交流」です。

オンライン「だけ」で、ユーザー同士の深い交流を促し、毎日のように話し、たくさんの意見交換を生み出し、結果として「まるで親友のような」存在を創り出す。

これができるコミュニティは非常に少ない。

少なくとも、1対Nの構造では到底不可能ですし、オンライン「だけ」となるとさらに難易度が高くなります。

これを実装するために必要なのは、「同期性」と「ノンバーバルコミュニケーション」の2つです。

同期性の理解と実装

オンライン、つまりインターネットの世界は、「オンデマンド」が基本です。

ユーザーは自分のタイミングで、自分にとって必要なだけの情報を得ることができる。

これがインターネットの利便性を支える根底の技術方向であり、インターネット化は言い換えると「オンデマンド化」「個別最適化」という指向性を持っています。

映画館は「時間」「場所」が指定されていますが、アマゾンプライムはいつでも、どこでも、どのシーンからでも見ることができます。

情報の受け取り手側として「個別最適化」されていくのがインターネットであり、それゆえに利便性が高いわけですが、これは実はオンラインコミュニティとは相性が悪いのです。

なぜなら、コミュニティとは基本的に「同期性」によって深まるからです。

「一緒に同じ空間にいる」

「一緒に同じ時間に見る」

「同じ目的を持っている」

「同じ話題を扱っている」

などの、空間、時間、目的、話題の「同期」によって、精神的なシンクロナイズを起こし、人間は他者と感覚を共有することができます。

オンラインサロンが流行したのは、少なくともある程度の「目的」「話題」を同期した人間が集まるからであり、それが職場などの「強制された」ものではなく、自分で選び取れる自由があったからです。

しかし、残念ながら「話題」「目的」だけの同期では、深い交流まで届かないようなのです。

そこに、「時間」と「空間」の同期を発生させることによって、人は急激に感覚共有を起こします。

つまり、インターネットによる利便性をあえて逆転させ、オンラインで「時間や空間を同期させる」ような機会を創出し、ユーザー同士に「感覚の同期」を起こすことで、深い交流を生むことができます。

実装レベルで言うと、

「同期性の高いユーザー参加型メディア」

を運営することが、オンラインだけでユーザー同士の深い交流を発生させるために必要です。

ノンバーバルコミュニケーション

そしてもう一つ、決定的に重要で欠かせないのがノンバーバルコミュニケーションでした。

どうしても、ITは現段階ではテキストベースになりがちです。

しかし、テキストは全くもって、そう、全く持って「不完全」なコミュニケーション手段です。

テキストを通じてのコミュニケーションを前提としている限り、ユーザー同士に深い交流を発生させるのは不可能と言っていいでしょう。

それくらい、人間同士の交流は「ノンバーバルコミュニケーション」による部分が大きいのです。

ユーザー同士がビデオチャットなどで1度でも話すと、その後の交流が急激に加速します。

もしくは、ライブ配信などで顔や話す様子を互いに見るだけでも条件を満たすことができます。

とにかく、「テキスト」以外の方法を交流手段に実装する必要があります。

この2つ、実装レベルで言うと

「同期性の高いユーザー参加型メディアをノンバーバルコミュニケーションを含めて運営できるか」

という部分によって、5つの要素で最も重要で難易度の高い「ユーザー同士の深い交流」が実現できるようになりました。

ここまでを階層で整理します。

つまり

既存の公教育に変わる「大事なことを学べる場所」を創りたいと思った

そのためには「N対N構造を実現して多様性と拡張性を担保すること・オンラインだけで良い環境を創れること」の2つによって、「オンラインだけで、尊敬できて目標となってくれる友人ができること」が最低限として必要だった

N対N構造の実現のためには、中心人物を無くし、正解の提供を辞める必要があり、それに成功した

オンラインで良い環境を創るためには、「文化・評価制度・知識・実践の機会・深い交流」の5つが必要で、

⇒文化・評価制度・知識・実践の機会は比較的簡単に実装できた

⇒深い交流の実装のためには、「同期性の高いユーザー参加型メディア・ノンバーバルコミュニケーション」の2つが必要だった

⇒上記を「ユーザーを出演者として運営する生放送番組・ビデオチャット機会を織り込んだグループワークシステム」の2つによって実装できた

この段階に到達したのが、2019年の2月末でした。

およそスタートから丸2年後という事になります。

2月末時点で、ファーストペンギン大学は、「ZOOMとグループチャットを利用したオンライングループ学習システム」と「生放送メディア」によって、「尊敬でき目標となってくれる友人ができる」というマッチングをオンラインだけで一定確率で発生させることが可能になっていました。

「公教育に変わって大事なことを学べる場所」にとって、最低限の条件を満たしたことになります。

もちろん課題もあります。

「マッチングの確率が低い」「マッチング手法に合わないユーザーが一定量いる」「環境が変わるのは成長の必要条件であり、十分条件ではない」ということです。

同期性を高めるために、マッチング手法が「生放送への参加」「ゼミへの参加」という非常に限定されたものになっており、ユーザーのタイミングや性格と合わない場合が多々あります。

さらに、頑張って参加してもマッチングは運任せとなっており、良い出会いがあって環境が変わる可能性は高くありません。

あと、そもそもですが「環境が変わる=尊敬でき目標となる友人とよく話すようになる」というのは、成長にとっての「最低限必要な条件」であり、環境が変わったからと言って誰もがうまく成長できるわけではありません。(そして現状では環境の提供以外に、効果的な学習支援システムがほぼ存在していません。ゼミはほぼマッチング目的で運営されており、学習支援システムとしては性能が低い状況です。)

簡単に言い直すと、

「今のファーストペンギン大学は、入っても良い出会いがあって環境が変わるかどうかは適性と運次第だし、もし環境が変わったとしてもそれだけで全員が望んだ姿になれるわけではない」

という感じです。

そのあたりを改善するために、今後は

  • マッチング手法の多様化(ゼミや生放送以外の手法で、たくさんの同期性の高いユーザー参加型メディアをノンバーバルコミュニケーションを含めて運営していく)
  • マッチングの確率を高めるために課金体系を見直す(ユーザーが累積で残っていくシステムに変更)
  • 短期的なマッチングの運に依存しないサービスバリューの確立(良い出会いが無かったら全然価値が無いという状況から脱却するために、新しい価値を主軸に置いていき、そちらを中心価値に利用していく中で長期的にマッチングできる環境にする)
  • 環境が変わる、に追加したさらなる「成長を促すための学びのシステム」の本格的な実装

などを進めていきます。

具体的には

  1. ユーザー自身による自発的なタイミングでの「コミュニティメディア」の創出ができないか?(コミュニティメディアのタイミングの多様化)
  2. そもそもコミュニティメディアの種類を他にもたくさん実装できないか?(コミュニティメディアの種類の多様化)
  3. 環境とは違う新しい価値としてゲーム学習システムを実装し、学びを支援できないか?

上記により、「環境の提供」を強化し、さらに「学び支援システム」を搭載することで、

今の自分を変えたい、でもうまく変えられない

という人が

  1. 村に入ってくる
  2. まずは自分のタイミングで取り組める学習支援システムに参加する
  3. 村内に多々出現するコミュニティメディアにどこかのタイミングで参加することで必ず良い出会いにも恵まれる
  4. 環境の変化と学習支援システムの力を借りることで、精神的経済的に自立するためのスキルを確実に身につけていくことができる
  5. さらにその過程で問題解決能力が磨かれて、どこに行っても通用する人材になる
  6. 最終的には村の中で充実感・成功への希望・社会的つながり・意義への参加という指標に囚われない幸福も自然と満たしていける

という状態を目指していきます。

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