がくちょうです。
2021年の6月に活動を停止していたEスポーツチーム
アタリメフルボディーズ(以下、AFB)
ですが、宣言通り2022年の2月から再始動いたします。
活動停止の理由
先に「活動を停止した理由」について改めて説明します。
簡単に言うと
AFBを通じて何を実現したいのかが、不明瞭になってしまったから
という理由でした。
何らかの課題解決をしたいなと思って参入しましたし、ある程度の目星はつけてチーム創りを行ってきたのですが、Eスポーツという業界全体にあまりに課題が多すぎたため、途中から
集中して取り組むべき課題があいまいになってしまった
という状態でした。
3つの課題と、これまでやってきたこと
大きく分類すると、2019年からのAFBは下記の3つの課題にアプローチしていました。
再開に向けて、まずはこれまでの2年間で発見した課題と、それらにどの程度アプローチできたのかを整理します。
課題① 上達する方法が「言語化」されていない
通常、スポーツや競技というのは、ある程度の年月をかけて広がっていくものです。
その過程で、育成や指導に回る人材が自然と出てきて、
競技を上達する方法
というものも自然と出回っていくようになります。
しかし、Eスポーツにおいては
- 3年以内という圧倒的な短期間で1000万人などの膨大な競技人口に到達する
- 数年という短期間でアップデートやバージョン変更が発生して競技性そのものが変わってしまう
という2つの特徴があり、育成指導層が増えづらく、上達する方法も出回りづらい状況になっています。
他のスポーツなら、上達したいと本気で思ったなら、
- 指導書を読んだり
- 指導者の動画や教材を見たり
- スクールで指導を受けたり
すると思います。
しかし、Eスポーツはそもそもそれらの「言語化された上達方法」自体が少なすぎるため、やみくもに練習時間を増やすしかないという圧倒的な非効率が発生しています。
ビジネスの本質は「無駄な努力の削減」ですから、私はこの部分において
体系化された上達方法を言語化して提供する事によって、価値提供できる
と考えました。
そして、ブログやyoutubeでの動画提供、そしてAFB内でのコーチングなどを通じて少しずつ上達方法を言語化し、提供していったわけですが、実際にはこの課題にフォーカスできておらず、中途半端な価値提供になっていました。
課題② 上達するための「良い練習環境」が無い
ここの部分は、Eスポーツの中でも
- 個人競技
- チーム競技
の2つに分類をして話を進める必要があります。
例えば、サッカーというのは本質的に「チーム競技」に該当しますよね。
そのため、サッカーという競技の上達においては
個人の技術向上(パス・シュート・トラップ・走り出しなどの自分ひとりで向上できる技術が上手くなること)
という側面に加えて、
チーム競技としての技術向上(戦術を理解して実践する力・チームを動かす力・状況や流れを判断して最適な戦術を選択して機能させる力などの、自分ひとりでは向上できない技術が上手くなること)
という側面も存在します。
私が取り組んでいる「スプラトゥーン」というタイトルは、チーム競技に該当するため、上記の両方が必要です。
そして、残念ながら上記の両方において、良い練習環境が整っているとは言えない状況になっています。
個人の技術向上のための「良い練習環境」とは
では、個人の技術を向上させるための「良い練習環境」とはどういったものでしょうか。
実は、ここが私が2019年のAFB設立当初から最も悩んでいた部分でもあり、過去のAFBではほぼ解決も価値提供もできていなかった課題でした。
言い換えると、私自身が
どうすれば技術が向上するのか
について、明確な言語化ができていませんでした。
チームを結成した最初の頃は「練習会」や「勉強会」なども企画してみたものの、的確なソリューションが思いつかなかったため、徐々に「個人の技術向上」に関しては後回しになっていった感があります。
しかし、2022年現在の私はこの部分が明確に言語化できており、いくつかの実験によって実証も終わっています。
簡単に言えば技術の向上に必要なのは
- スキルフォーカス
- メタ認知
の2つです。
スキルフォーカスとは、「技術の全体像を把握した上で、自分がどのスキルを身につけるべきかを理由とともに把握できており、そのスキル習得にフォーカスして練習に取り組めていること」を指します。
そして、メタ認知は「上記のような俯瞰した視点を言語化しつつ、自分で見えない客観的視点を他者からフィードバックしてもらうことで精度を補うこと」を指します。
この2つによって、特定の技術を効率よく向上できるという結論に、2021年までの別事業での実験によって到達しました。
しかし残念ながら、現状で唯一の「個人の技術を向上させるための練習方法」となっている「ガチマッチ」というプレイスタイルは、
- スキルフォーカス
- メタ認知
の両方ともが極めて発揮しづらい練習環境となっています。
最もスキルにフォーカスしづらく、最もメタ認知しづらいという意味では、
技術向上において最低の練習環境
と言ってもいいでしょう。
そのため、
スキルフォーカスとメタ認知がしやすい練習環境を提供することで、個人の技術向上を支援する
というのが、非効率な努力の改善策として提供できると考えています。
チームの技術向上のための良い練習環境とは
チームの技術向上においても、個人の技術向上と同じような理由、つまり
どうすれば技術が向上するのか
について私自身が言語化できていなかったため、うまく価値提供できていなかったように思います。
しかし、後述する「スポーツ体験」を推進する過程で、この部分は自然と支援できていた部分も大きかったです。
課題③チームスポーツとしての体験をしづらい
最後3つ目は、課題②と少しかぶる部分もあるのですが、
本来はチームスポーツなのに、チームを組んだりチームとして目標を追いかけたりするなどの「チームスポーツ的な体験」をする機会が少ない
という課題がありました。
ここは、2019年から「内部大会を開催する」という方法で価値提供をしてきました。
そして、2019年からの2年間の活動において、実質的には
- 課題①上達方法を言語化して提供する
- 課題②良い練習環境を提供する
という2つの課題に対してのソリューションとして、
本気で盛り上がる内部大会の開催(目標の提供)によってチーム単位での練習機会や密度の高い個人練習を促進する
という課題③に対する解決策を当ててしまうことで、大雑把に全体を解決するような施策になっていました。
言い換えると、
- ① 上手くなる方法を知りたい!(知識の獲得)
- ②-a 個人技を磨きたい!(個人技術の向上)
- ②-b チームとして勝てるようになりたい!(チーム技術の向上)
- ③ チームスポーツとして楽しみたい!(チームスポーツとしての体験)
という異なる様々なニーズに対して、
めっちゃ楽しめる大会を開催して③を解決しとけば、プレイヤーとしてのモチベーションが上がって他の①②はある程度勝手に解決するやろ
という雑な構成になっていたわけです。
そして、事実として内部大会である「アタリメ杯」を2年間に渡って開催し続けた結果、
- ユーザーが自主的に学習し始めて知識が身についていった
- モチベーションが高くなって個人の技術が伸びていった
- チーム単位で活動するメンバーが増えて高いレベルのチームも生まれていった
という風に、結果も少しずつ出ていました。
しかし、異なる3つの課題に対して強引に1つのソリューションを提供して解決しようとした結果、ユーザー数の拡大に伴ってユーザーニーズとの乖離やバリューの低減が起こっていることも実感していました。
そのため、ユーザー数が200を超えたタイミングで、いったん白紙に戻す必要性を感じて、活動を停止したという流れです。
2022年からの活動内容と課題の絞り込み
改めて言うと、2019年からの2年間の実験によって、
スプラトゥーンという業界の
- ① 上手くなる方法を知りたい!(知識の獲得)
- ②-a 個人技を磨きたい!(個人技術の向上)
- ②-b チームとして勝てるようになりたい!(チーム技術の向上)
- ③ チームスポーツとして楽しみたい!(チームスポーツとしての体験)
という4つのニーズを発見し、それに対してこれまでは
③のチームスポーツ体験を提供すること
に比重を置いてサービスを構築してきたという事です。
しかし、業界全体のニーズで考えてみれば、ほとんどのユーザーは
①と②-a
の部分に偏っています。
そもそも、最低限の知識や個人技術が身に付いていなければ、チーム競技としての技術(戦略や戦術)を実行したり、チームスポーツとして本当の意味で楽しむことはできません。
正直に言うと、チームを始めた当初は自分自身もへたくそだったため、①や②-aあたり(つまり、個人の技術向上)を重要視していたのが、2年間で自分がプロレベルまで上達してしまった結果、自然と②-bや③あたり(つまりチーム単位での願望)に重点を置くようになってしまいました。
そこで、2022年からは改めて
- ① 上手くなる方法を知りたい!(知識の獲得)
- ②-a 個人技を磨きたい!(個人技術の向上)
- ②-b チームとして勝てるようになりたい!(チーム技術の向上)
- ③ チームスポーツとして楽しみたい!(チームスポーツとしての体験)
という4つのニーズを別に扱い、それぞれのニーズに対して最適なソリューションを提供していく事を決めました。
つまり、4つのサービスを順番にリリースしていく形になります。
① WEBメディアの構築
まだ未定部分も大きいですが、
① 上手くなる方法を知りたい!(知識の獲得)
というニーズに対しては、
スプラトゥーンの上達方法について網羅したWEBメディア
を構築していく予定です。こちらは2022年の10月ごろから、SEO担当者1名、編集者1名、ライター5名程度の体制で本格始動する計画です。
② 個人技術を磨くための練習環境の構築
そして、
②-a 個人技を磨きたい!(個人技術の向上)
というニーズに対しては、
個人技術を最も効率的に伸ばせるシステムが整った練習環境
を構築していく予定です。こちらは2022年の2月からテストメンバーを募集して実際に動き出します。
2022年2月から7月の「スプラ3の発売」までをテスト期間としてβ版運用し、7月以降に公開サービスとして一般オープンしていく流れで計画しています。
③ チーム技術を向上させるための練習環境の構築
個人とは別に、
②-b チームとして勝てるようになりたい!(チーム技術の向上)
というニーズにも応えていきたいとは思っているのですが、正直に言ってこのニーズは現段階ではあまりに時期尚早であり、取り組むべきではないと感じています。
そもそも、まともにチームとして長期的に活動している母体が少なすぎますし、個人技術が相応になっていないとチーム技術に踏み込むことすらできません。
サービスとしては、チームスポーツとしての文化や習慣が広がり、根付いてきたころに着手するべきだと判断しています。
ただし、2022年中には弊社から「プロチーム」を1チーム選抜する計画を立てているため、β運用として弊社が抱えたプロチームに限定して、
チーム技術を最も効率よく向上させるためのシステムが整った練習環境
を提供してみて、そのチームが大規模大会での成果を出していくことで「チームとして技術向上することの有用性」を提示していこうと考えています。
圧倒的な成果を出していくことをもって、ニーズを喚起していくという長期プランになる予定です。本格稼働できるのは、おそらく2023年以降になります。
④ チームスポーツ体験を促進する大会の開催
最後に、
③ チームスポーツとして楽しみたい!(チームスポーツとしての体験)
というニーズに対しては、
チームスポーツ体験を促すような本格的なEスポーツ大会の開催運営
という形で応えていく予定です。
ただし、こちらに関しては正直に言って事業として成立するイメージが全く湧いていません。
完全に労働集約的になる上に、法律でガチガチに固められて身動きが取れなくなっているような状態だからです。
そのため、しばらくは本格的な展開を避け、メディアからメールマガジンの読者を集めていった先に、メルマガ読者限定での大会開催などを無料で行っていくことで、
練習環境への参加を促すフロントエンド
として展開していく予定です。
こちらも、WEBメディアが十分に稼働した先の話になりますので、2022年の10月から半年以降、つまり2023年の3月以降からの動き出しになるイメージで考えています。
タイムスケジュールイメージ
まとめると、
- 2022年2月~ 個人技術を効率よく向上するシステムを整備した練習環境(仮称:アタリメクラブユース、以下ACY)の提供をβ版として運用開始。メンバーは10名程度でスタート予定。
- 2022年7月~ スプラ3の発売
- 2022年7月~ ACYのβ運用を終了し、一般公開。
- 2022年10月~ スプラ3に特化した専門メディアの構築を開始。
- 2022年12月~ 社会人プロチーム「AFB」の構築と契約を開始。同時に「チーム技術に特化した練習環境」をAFB内に特設し、プロチームでβ運用開始。
- 2023年3月~ 定期的な大会の開催をアタリメ団のメンバー限定で開始。チームスポーツとしての体験を広めつつ、需要喚起とACYへの誘導を行う。
- 2023年7月~ 各所の外部大会にプロチーム「AFB」として出場し、実績を出し始める。
- その後、実績やタイミング次第で、ACY内に「チーム部門」を設立する。
というタイムスケジュールになります。
理想は2023年内に、業界内での
- 情報量
- 会員数
- プレイヤー育成実績
- 大会の開催実績
- プロチームの勝利実績
の全てにおいてナンバーワンを取って、覇権を握ることです。
圧倒的なナンバーワンの存在が、打倒NO.1の流れを生み、業界全体に火をつけてすべてを活性化していきます。
もちろん、任天堂とも積極的かつ密に連携を取り、スプラトゥーンというタイトルにとって最善の流れが起こるように柔軟に調整していきます。
2000万人の競技人口を誇り、世界一盛り上がるEスポーツ大会と言えばスプラトゥーン
という未来に向けて、着実に土台を創っていきましょう。